尾道一人旅
2024年5月17日
こんにちは!秋好亜久里です。
先月、広島県尾道市へ一人旅をしてきました。
とても楽しく充実した時間を過ごしましたが、ここでは「古き良き日本」とその建築や文化をクローズアップしてご紹介します。
尾道というと、海に面した「坂の町」「路地」というイメージを思い浮かべますが、まさにその通りでした。
私は尾道に行くのは初めてでしたので、もっと言うと「予想を上回る坂と路地」に驚きました。
麓から山上の千光寺の辺りにかけての急こう配エリアが尾道の町並みとして知られていますが、歩いて上がるには少し大変なので観光客の方はロープウェイで上がり、ゆっくりと歩きながら下る方がほとんどのようです。
ですが私は「急こう配に立つ建物」や「路地にひしめく建物」をあえてじっくりと見てみたいという思いから、徒歩で山頂を目指しました。
歩き始めてすぐにその道の狭さに驚きます。
斜面に沿った細い道や階段、また上がるにつれて見えてくる海。
それはそれは趣があり素敵で、映画のロケ地になったりアニメのモデルとなっていることに納得です。
ですが、この街並みは現在の建築基準法が施行される以前に造られたもの…
つまり道路の幅員条件等を満たしていないため、極端に言うと「壊れてしまえばもうそこに建物は建てられない」のです。
確かにこのような細い道には災害時に消防車も救急車も入れませんよね。
住人の安全確保の観点からも当然と言えば当然ですが、なんだか切なくなります。
(こういった例は尾道に限らず神戸にもたくさんありますし、再建築不可という意味では市街化調整区域もそれにあたります。)
実際に尾道の空き家問題は深刻なようです。
でも…目の前に現れたこの建物、見るからに空き家だなと思っていたのですが…
玄関まで歩くと看板があり、なんととても素敵なカフェでした!
もちろん入ってお茶をいただきました♪
まるでジブリの世界に入り込んだような調度品や空間。挙句の果てには向かいの椅子に猫ちゃんが2匹やってきました。もう出来事までがジブリじゃないですか!笑
もう一度行きたい…という話を始めると脱線してしまいますので、話を仕事に戻します。
ここでは紹介しきれませんが、このように古い建物を再利用したお店が点在していて、その多くが都会から移住してきた方たちが空き家を上手く活用したものでした。
さて、山頂からの眺めです!
尾道の町並みからは本当に多くの学びがありました。
山頂からの景色を満喫したあとは坂を下って、今度は尾道の商店街へ。
ここでも古い建物をリノベーションしたお店を多く見ました。
これはかつて銭湯だった場所を改装して営まれている中華料理屋さんです。
なんて味のあるお店だろうとしばらく見惚れてしまいました。
古い=悪いものではないんです。むしろ古さって貴重で素晴らしいもの。残すべきは残し、手を加えるべきところは手を加えて、いつまでも大切に保存していけたらと思います。
ここで突然ですが話は変わって、先日は長野県に行ってきました。
松本市で一番古いといわれるホテルに滞在しました。
見て下さい、この雰囲気!
古いのに新しい。古いのにお洒落。そう思いませんか?
調度品は松本の民芸家具で統一されており、なんとも素敵な内装です。
そして松本城。
次は昔から続く酒蔵に併設されている古民家。
どんどんいきます。次はなんと慶応4年から続く純喫茶です!
ため息が出るような風情ある空間でした。
現在日本では空き家がどんどん増加しており、900万戸に届く勢いだと言われています。
もちろん中には倒壊の危険があったり、劣化が著しく修復不可能なものもありますが、まだまだ手を加えることで蘇らせることが出来るものも多くあるはずです。
人口の減少も続く状況で、全てを住居として再利用することは難しくとも、店舗や宿泊施設として活用するなど方法は多岐にわたると思います。
古いものを壊さずにうまく利用し、その魅力を最大限に生かすことは、私たちリフォームに関わる人間の大きな課題だと改めて感じました。